養老孟司の「かけがえのないもの」
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2011/04/17

アズマイチゲ 写真

4月16日。今日は女性7人で支援ボランティアへ。
 
でも、ちょい、三日前のことを書きますね。
 
13日、ひさしぶりの野田。親戚を回る。泥だしに通ったいとこの家。ゆでたまごが食べたいと言っていたので、おそまきながらゆでたまごを持って行く。大型バイクが止まっている。家の前はすっかり片付き、日常の日差しがやわらかい。
 
わたしの顔を見ると、「入れ、入れ、きれいになったがら・・」という。ほんとだ。みちがえるようにきれいになっている。新しい畳、壁も塗り替えたみたい。東京からバイクできたという弟さんが、ペンキ塗りをしたそうだ。きれいになった部屋にあがり、お位牌に手をあわせる。
 
むかいのYちゃんにもゆでたまごのお裾分け。家の壁をはがし、工事をしている。となりの小さな家は取り壊すそうだ。家は残ったが、生活に必要な家財道具がダメになったという。
 
それから、おばちゃんの家に行く。7回忌がすんだ叔父の仏様に線香をあげる。「父ちゃんが守ってくれたんだなあと思って」おばちゃんが言う。おばちゃんの実家は甚大な被害をうけ、家は跡形もなくなったのだ。きのうやっと会い行ってきたという。すぐに帰ろうと思ったが、ついつい話しこんで長居になってしまった。
 
妹にも会う。「あのやあ、今でも町を通れば、まだ信じられなくて、ウソみたいで、胸が苦しくなるよ」うん。わたしもうなづく。一ヶ月たっても、衝撃は薄まりはしない。これからのことを考えると、気は重くなる。町のがらんとした風景は、心もとなくて寂しいばかりだ。
 
そして、母に会う。ここ数日、具合が悪かった母。だれかわかる?ときくと、怪訝な顔をしくすっと笑う。小さな顔がかしぐ。またくすっとし、おばかだねえという顔で「それは、鼻」と言う。たしかに。わたしの指は鼻を差しているわ。も一度きく。わたしはだーれ? 母、にっこりし「京子だよ」と答える。それから、「なんだか、100歳まで生きそうだよ」という。それで、また笑う。

かけがえのないもの 写真

養老孟司「かけがえのないもの」(新潮文庫)を読み返す。帯に「人間がつくったものを信用してはいけない・・・」とある。生老病死というのは、人の本来の姿です。何千年何万年も続いてきた「自然」です。都市化の世界にあっては・・・その自然さえも・・・。
 
う〜ん、わたしは学者じゃないからうまくいえないけど、養老先生の眼は、いつもゆらぐことなく鋭い。こういう災害のときにこそ、養老先生に出てきて欲しいんだけどな!

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