ジャズってどういう音楽ですか?「村上春樹 雑文集」新潮社
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2011/02/23

村上春樹 雑文集 写真
「村上春樹 雑文集」新潮社

 きょうは水曜日、まだ2月なのに気温が8度、そのうえおしげもない日差しがぽかぽかとさしている。これを書いたら、海にいこうと思う。波の音をききながら砂の上を歩こう。だって、2月なのにこんなにいい天気なのだもの。
 
 三日前の日曜日、本屋さんに行った。勤めているわけじゃないから別に日曜日にいかなくてもいいのだが、でもやっぱり日曜日だ、本屋さんに行こうという気分になる。こういう気分になるってことはわたしの生活もやっと平静を取り戻したのかもしれない。たぶん、そう。
 そしてこの日は、とてもラッキーだった。いつもなら素通りする売れ筋の本をてんこもりしているコーナーを、この日はすーっと近寄ってみた。コーナーのなかほどにしんみりとある本に視線がむかう。ん! 村上春樹!!
 
 1979-2010 未収録の作品、未発表の文章を村上春樹がセレクトした69篇
村上春樹「雑文集」 装丁がいい、ネズミ君とうさちゃんだ。まあ、そんなわけでとっても幸せな日曜日があって、月曜日、火曜日水曜日と、本を読みながら幸せ感をあじわっているのだが、さっき読んだ箇所に、おもわずじんわり。そう、この感じ。風のような雨のような、さりげないくせに、妙に心にぴったりとはりつくもの。そんな感じを村上春樹はさりげなくあたたかくそしてわたしのこころに直裁に届く方法で差し出してくれる。
 
 カズオ・イシグロがいみじくも言った「読む人に親近感を抱かせる希有な才能を持っている」のように、自分のために親身になってくれるお兄ちゃんって気になる。「ビリー・ホリディの話」の中に、「ジャズとはどういう音楽か?」ときかれたとき、どう答えるか――の文がのっている。30年以上前のジャズ・バーを経営していたときの話。そこを読んでいて、おもわず何かがこみあげてきた。― そう、この感じ。村上春樹の希有な才能はこのへんにあるのかも。やれやれ。
 
 この日買った本は3冊。一冊は絵本で一冊は安保さんの免疫の本(ぶんこ)。日中はほとんどパソコンにむかっているので、昼ご飯をたべたあととか、夜のくつろぎのときとかに本をひらく。天気や気分によって、こっちの本だったりあっちの本だったりになる。でも、大好きな作家の本は、見境もなく読みふけってしまう。村上春樹のエッセイは、文句なしによい。こんどの本も最高に素敵!
 

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