内田樹「疲れすぎて眠れぬ夜のために」
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2009/07/27

海へ 写真
海にいこう・・・

 今もっとも気になる作家は? と訊かれたら、内田樹と答える。内田樹は知る人ぞ知る村上春樹の理解者であり、弁護者であり、擁護者であり、・・・ぐらいにしか認識してなかったけど、なんと、今回読んだ本はおそろしいぐらいの洞察眼だと知らせてくれた。
 
 先週の暑さは、ここ久慈も例外ではなく、動くのもやんなるほど暑かった。で、家にこもって内田樹の「疲れすぎて眠れない夜のために」を、読みふける。
 
 一日目は、う〜ん、やっぱりそうかあ、と感心しつつ、二日目は、ふ〜ん、内田樹は体のことも知っているんだ、と感銘し、三日目は体がすーっと冷めて震えがくるような感じをおぼえた。例えていえば美術館で一つの作品に出会い魂を射抜かれたような、畏怖の念で身動きできない感じ。三日もつづけて同じ本に固執するのはちょっと無い。そう、ひさしぶりのこの感覚。読書の深みとは、この震えがくる感じなのだ。
 今回は内田樹にぞっこん惚れてしまいました。こんなにやわらかく、こんなに頭よく、こんなに冷徹で、そして愛に満ちた男がいたら、女はイチコロです。でも女もいろいろだから、わたしみたいな難破な女はころりんこんです。
 
 内田樹は武道家でもあったとは・・。読みながら立原正秋を思い起こしました。タイプ的にはぜんぜんちがうけど、きっと立ち居振る舞いは似ているのではないかな。無駄がなく、すっすっと歩く。身体と心と感覚とを、常に俯瞰する眼で見ている。鈍なわたしがこんなことをいうのもはばかれるが、野口整体をちょっとかじっている身としては、「身体を割る」という感覚はよくわかる。
 
 そして、最終稿の「資本主義vs人類学」を読んだとき、体から熱がひいていった。内田樹。こういう人が日本に存在するということが分かっただけでも、よかった。ほんとによかった。
 それで、わたしの決めたこと。「疲れたら、正直に「ああ、へばった」と言おう。「不愉快な人間関係には、耐えないことにしよう」この二つを当面の目標にします。みててね。あっ、ほっといて、ちょうだいね!

だり蝶 写真

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